経験値積んでも、やっぱり悩む。抗生剤選択。

先日、病棟で、頭を抱えて悩んでいる研修医を発見。
手元には感染症診療の本やら、薬剤の本やらが多数広げてある。
「薬疹らしきものが出て、抗生剤をどれに変更しようか悩んでるんです・・・」

30分後に病棟に上がったら、手元の資料は増え、まだ悩んでいた。


この患者さんは肺炎で治療中。
これまで肺炎は何例も担当し、ずいぶん経験値を増やしてきたハズ。
のに、
なぜ、そんなに悩むのでしょう。

たぶんこれは研修医先生が大いに成長した証拠だ、と私は思う。

アンチョコ本や、マニュアルに書いてあるままに、抗生剤を決めてしまうこともできる。
けれど、
患者さんの全身状態や基礎疾患、アレルギー歴、
グラム染色の解釈、想定される起因菌の院内・地域での耐性の傾向
抗生剤のスペクトラム、組織移行性、副作用、
など考えることはいくらでもある。

それに
うちの研修医たちは、えらいことに、
「なるべくなら起因菌にターゲットを絞る」
「無駄にブロードな抗菌薬は使わない」
というポリシーも持っているようだ。
いざというときに、ブロードな抗菌薬を使えるように。
キノロン系なんかは、できるだけ温存している。


多少時間がかかっても、しっかり頭をつかって患者さんにとって最良の選択肢を決めれることは、
適当にさっと治療薬を決めれることよりも、
ずっと大切なことだと思う。

大変だけど、こういう姿勢、応援したいです。

シニア藤原(悠)

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    ↑ シニアのデスク。読んだ文献コピーは押し出しファイリングで並べてます

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この記事へのコメント

ヤング指導医
2009年07月30日 13:08
国家試験では正解がありますが、実際の医療は絶対にこれが正しいという正解はないのですよね。

だからこそ悩む。
最善を尽くそうとすればするほど、たくさん勉強すればするほど何が正しいのか分からなくなってくる。

それは真剣に仕事と向き合っている証拠。

一方ではいつまでも悩んでいる訳にはいかない、病気は我々を待ってはくれない。

どこかで区切りをつけて、決断しないといけない。
その時点で自分にできうるベストな決断を。

こういうトレーニングの中でこそ本物の臨床力が身につくと思いますし、医師としてのプロフェッショナリズムが身につくと思います。
そして、主治医だからこそ真剣になれるのではないかと思っています。
元シニア
2009年07月31日 23:55
出雲でシニアをやっていたときのことを思い出しました。
自分の患者にどの抗菌薬を使おうかと悩んでいたら、
研修医が驚いた表情で
「先生でも悩むことがあるんですね!?」
と。

しまった。
あまりにも正解を示しすぎていたことに気づいた瞬間でした。
それからは自然に悩んでいる姿を努めて(笑)見せるようにしました。

指導医は正解を示すばかりではなく、たどり着けるようにサポートするのも重要な指導です。

自然に身につけた、悩む姿、背中を見せる指導法により、自分自身の肩の力が抜け、よりスムーズに指導ができたことを覚えています。

がんばれ研修医!(ほどほどに)
がんばれシニア!(もちろん、ほどほどに)
ヤング指導医
2009年08月01日 11:06
元シニアさんお疲れ様です。

背中を見せる指導法、いわゆるロールモデリングですね。
これはプログラムには表せない重要な教育資源ですよね。

私の場合は正解がないということを前提に医療を考えているので、ランチョンカンファレンスでも一緒に悩みます(^^;
一緒に悩んで、知恵を出し合って、より妥当な判断ができるようにしたいと思います。

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